日本でマナティーに会える水族館一覧!面白い特徴や見逃し厳禁なポイントも紹介
マナティは、日本では4つの水族館にしかいない海の動物。マナティーの種類は3つあり、それぞれの種類が見られる水族館は限られています。 この記事では、マナティーに会える水族館を紹介。各水族館のみどころやマナティーの特徴についても解説します。
マナティは日本の4つの水族館だけで飼育公開している海の動物。しかも3つの種類があって、それぞれの種類が見られる水族館は限られています。
この記事では、マナティーに会える水族館を紹介。各水族館のみどころやマナティーの特徴についても解説します。
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マナティーとは
マナティーはジュゴンとともに人魚伝説のモデルになったといわれる動物。のんびりと水中に浮いているイメージがある癒やし系の生き物ですが、いったいどんな特徴があって、ジュゴンとはどこが違うのでしょうか?
マナティーの特徴
マナティーは水中に住むほ乳類で、海牛類のマナティー科に分類されています。体の大きさは3m以上、体重は300kg以上。実際に見ると、イメージより大きいことに驚くはずです。
食べるのは主に植物です。海草や水生植物を食べますが、水辺にある陸の植物を食べることもあります。水族館での主なエサは野菜となり、それぞれの水族館で工夫したエサを与えていますよ。
マナティーの種類
マナティーは実はひとつの種類ではなく、世界には3種類がいます。
アメリカマナティー
アメリカマナティーは、別名ウェストインディアンマナティーとも呼ばれる種類。フロリダマナティーとアンティリアンマナティーという2つの亜種に分類されます。住んでいるのは、アメリカ南部のフロリダや、中米、カリブ海、南米などです。マナティーの中でもっとも大きい種類で、体長は390cm。体重は1,500kgにもなります。
アマゾンマナティー
アマゾンマナティーは陸風型のマナティー。中米やブラジル、ペルーのアマゾン川、エセキボ川水系などに住むマナティーで、アンデス山脈が形成されたときに陸封されたと考えられています。体長は280cm、体重は300kgから500kgとマナティー科では最小です。
アフリカマナティー
アフリカマナティーはアフリカ大陸西海岸の沿岸と河、湖などに住んでいる種類です。体長は450cmで、その割に体重は360kgと軽いのが特徴です。水生植物の他に貝類などを食べる雑食性であることも特徴です。
ジュゴンとの違い
マナティーと間違えやすい生き物がジュゴンです。どちらも海牛目の哺乳類ですが、いくつかわかりやすい違いがあります。
尾びれの形
もっともわかりやすい違いは尾びれです。ジュゴンは尾びれがイルカのような三日月型ですが、マナティの尾びれは丸い形をしています。魚の場合、尾びれが細く尖っているのはマグロなど速く泳ぐ魚で、尾びれが丸いのはハゼなどゆったり泳ぐ魚という違いがありますが、ジュゴンとマナティーも同じ。ジュゴンはある程度速く泳ぐことができ、マナティーはゆったり泳ぎます。
胸びれの形
ジュゴンの前足は泳ぎに適したひれの形をしています。しかし、マナティーの前足は腕に近い形で、肘の部分が曲がるのが特徴です。種類によっては爪もあり、マナティーはエサを手で持つようにして口へ運ぶことができます。
口の向き
ジュゴンは海草を掘り起こして食べやすいように、口が下を向いています。一方マナティーは水中に浮かんでいる水草を食べることが多いので口がやや正面に向いているのも大きな違いです。
皮膚
ジュゴンの皮膚は滑らかで短い毛が生えています。一方マナティーは皮膚が厚くて硬いのが特徴。そのため表面に苔やフジツボがつきやすくなっています。ただしアマゾンマナティーは滑らかな皮膚をしているので、ここだけで見分けるのは難しいかもしれません。
大きさ
ジュゴンは体長約240cmから300cm。マナティーの体長は種類によって異なりますが、約280cnから450cmとやや大きくなります。
生息地
ジュゴンは広い海域に生息しているのが特徴。マナティーは海水と淡水が混ざった汽水域や淡水域に住んでいます。具体的にはアメリカマナティーとアフリカマナティーは汽水域で、陸風型のアマゾンマナティーは淡水域。ジュゴンは沖縄など日本沿岸で見ることもできますが、マナティーは日本の近海には住んでいません。
ジュゴンに会える水族館は?
日本でジュゴンに会える水族館は、三重県鳥羽市の鳥羽水族館1館だけです。ジュゴンは個体数が非常に少なく国際条約で輸出入が規制されているため、今後新しく飼うことは難しいのが現状。鳥羽水族館では1987年4月に推定生後半年くらいで保護されたセレナというジュゴンを、特別な許可のもとで飼育しています。
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日本でマナティーに会える水族館
日本でマナティーに会える水族館は、4館しかありません。それぞれの水族館にいるマナティーの種類と数がこちら。
- 熱川バナナワニ園(静岡県):アマゾンマナティー 1頭
- 鳥羽水族館(三重県):アフリカマナティー 1頭
- 新屋島水族館(香川県):アメリカマナティー 2頭
- 沖縄美ら海水族館(沖縄県):アメリカマナティー 4頭
それでは各水族館とそこにいるマナティーがどのような特徴を持っているのか、くわしく紹介していきましょう。
熱川バナナワニ園(静岡県)
日本で唯一のアマゾンマナティーに会える動植物園
熱川バナナワニ園は、静岡県東伊豆町の熱川温泉にある動植物園です。温泉の熱を利用してワニや熱帯植物の栽培を行っているのが特徴です。飼育しているワニの種類は17種で世界一!約140頭が飼育されています。
もう一方の名前の由来であるバナナも、約20種を栽培しています。園内には約5,000種の熱帯植物も栽培されています。ほかにもゾウガメやオオサンショウウオ、フラミンゴなどの生き物がいっぱいいますよ。なかでも日本で唯一、ニシレッサーパンダの飼育繁殖で知られています。
そんな熱川バナナワニ園で会えるマナティーはアマゾンマナティーで、日本で唯一の種類となっています。
白いブチ模様が特徴
アマゾンマナティーはお腹に白いブチ模様があるのが特徴です。数分に1度、呼吸のために水面に上がろうと、上を向いて泳ぐときに模様が見えるので、注目してくださいね。
55年前に来園
このアマゾンマナティーが熱川バナナワニ園にきたのは、なんと1969年です。アメリカのマイアミから推定5~6歳の頃に来園しました。つまり、もう60歳以上ということになります!長生きですね。
名前はじゅんと
このマナティーの名前を募集したのは2017年。じゅんとという名前に決まりました。じゅんと(Junto)はブラジルの共用語であるポルトガル語で『一緒』という意味です。アマゾンマナティーが日本に来て一緒にいてくれてうれしい気持ち、これからもずっと一緒にいたい気持ちが込められています。
人懐っこい性格
アマゾンマナティーは臆病な種類ですが、じゅんとは性格がおだやかで人懐っこいのが特徴。とくに子どもや女性が大好きだそうです!見物客を気に入ると、ガラス面に向かって何度も浮いてきてくれるので見ているこちらもうれしくなりますよ。
食事時間に注目
マナティーの食事時間は毎日10時半と14時。白菜や人参などの野菜や、水草を食べます。1食に約2時間もかけてゆっくり食事するので、お食事タイムにあわてて水槽前に行かなくても大丈夫。ただし好物から順に食べるそうなので、時間に合わせていくとマナティーは何が好物なのか見ることができます。
アカスリにも注目
毎週金曜日の12時半前後からは掃除の時間。マナティー水槽の水を抜いて13時半頃からスタッフが入ります。同時にマナティーもゴシゴシとアカスリをしてもらいます。1週間分のアカを磨いて落として、すっきりキレイになり、気持ちよさそうな様子が見れますよ。
熱川バナナワニ園の基本情報 | |
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住所 | 静岡県賀茂郡東伊豆町奈良本 1253-10 |
電話 | 0557-23-1105 |
開園時間 | 9:00〜17:00(最終入園16:30) |
休園日 | なし |
アクセス | 伊豆熱川駅から徒歩約1分 沼津ICから車で約1時間45分 |
料金 | 大人(中学生以上)2,000円、4歳~小学生1,000円、4歳未満無料 |
公式サイト |
鳥羽水族館(三重県)
日本で唯一のアフリカマナティーに会える
鳥羽水族館は1955年に開業し、2020年には65周年を迎えた歴史のある水族館です。約1,200種類以上の飼育種類数は日本一。順路がないのも特色で、入場者は好きなルートで見て、気に入ったところには簡単に戻ることができます。
鳥羽水族館といえば珍しい生き物がいるのも特徴。日本唯一のジュゴンのほか、日本の水族館ではとても希少になったラッコも飼育しています。そして鳥羽水族館は日本唯一、ここでだけアフリカマナティーに会えるのです。
アフリカマナティーの名前はみらい
鳥羽水族館にはじめてマナティーがきたのは1996年。アフリカのギニアビサウ共和国で網にかかったオスとメスを保護し、オスにはかなた、メスにははるかと名付けて飼育をスタートしました。その後、2010年にみらいが入館。2014年にはるか、2024年にかなたが亡くなったため、今はみらい1頭となりました。
好物は牧草やレタス、ニンジン
ギニアビサウ共和国のゲバ川にいる野生のアフリカマナティーは、たくさん生えている水草はあまり食べず、ウォーターレタスや水没した水田の稲を食べています。しかし日本の稲は農薬を使っているため、水族館ではあげることができません。そのため、食事はレタスや牧草、ニンジンを与えています。
背中にセンサーがある?
鳥羽水族館では、マナティーの背中に食物を感じるセンサーがあるらしいことを発見しました。人が背中に触れても嫌がるだけなのに、好物のニンジンが背中に触れるとクルッと反転して食べるそう。そんな様子が見られたらラッキーですね。
背中を岩に擦りつける
みらいの得意技は、大きな擬岩に近づいて背中を擦りつけること。これは背中に生えるコケを掃除しているそうです。コケを落とす動作には個体差があって、オスのかなたはぜんぜんしなかったそうです。そのため、体の表面にはたくさんコケが生えていたそうですよ。
鳥羽水族館の基本情報 | |
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住所 | 三重県鳥羽市鳥羽3-3-6 |
電話 | 0599-25-2555 |
営業時間 | 9:30〜18:00 ※最終入場は17:00まで |
休業日 | 年中無休 |
アクセス | JR近鉄鳥羽駅から徒歩で約10分 伊勢ICから車で約30分 |
料金 | 大人 2,800円、小中学生 1,600円、幼児(3歳以上) 800円 |
公式サイト |
新屋島水族館(香川県)
2頭のアメリカマナティーに会える山の水族館
新屋島水族館は、標高300mの高台にある全国的にも珍しい山上の水族館です。生き物とのふれあいを大切にしたハートフルな水族館で、スタッフとの距離も近いのが特徴です。
水族館が誕生したのは1969年。2014年には施設の老朽化を理由に閉館する予定だったものの、存続を求める声が多かったため、営業が続けられることになりました。その後、ユニークなイルカライブやタッチプールなどが話題になって人気が回復し、現在は年間約20万人の来場者が訪れる水族館になりました。
大小約80の水槽で約130種1,000点の魚類や水生哺乳類、両生類等を飼育。なかでもこの新屋島水族館と沖縄の美ら海水族館にしかいないアメリカマナティーは、水族館を代表する人気者です。
ドイツから来たニールとベルグ
新屋島水族館のアメリカマナティーは、それぞれ1、2歳のときにドイツのニュルンベルク動物園から交友関係の証として譲渡されました。1992年に来館したベルグは現在体長3.5mで体重約350キロ、1994年に来館したニールは体長約4mで体重約500キロです。
ご飯タイムが人気
人気のイベントがマナティーご飯タイム。キャベツやニンジン、キュウリなどを食べる食事風景を公開しながら、飼育スタッフがアメリカマナティーの生態などを解説してくれます。土日祝日のみのイベントで10時半スタートです。
オナラに注目
スタッフおすすめのみどころが、マナティーのオナラ!マナティーは野菜を1日に数十kgも食べますが、腸がとても長く、消化するときにガスが発生しやすいのでよくオナラをするそうです。おしりのあたりからぷくぷくと泡が出ていたらそれがオナラですよ。見逃さないでくださいね。
2025年4月から休館
新屋島水族館は、2025年4月6日付けでリニューアル工事のため一時休館となります。再オープンは2027年春頃の予定です。新屋島水族館の現在の親会社は、海遊館など著名な水族館の水槽を手がけてきたNIPPURAです。そのノウハウと技術力を駆使して、国内では他に見られない展示方法を実現する予定なので、こちらも楽しみですね。
新屋島水族館の基本情報 | |
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住所 | 香川県高松市屋島東町1785-1 |
電話 | 087-841-2678 |
営業時間 | 9:00~17:00(最終入館 16:30) |
休業日 | なし |
アクセス | ことでん屋島駅からことでんシャトルバスで約10分 |
料金 | 大人(高校生~)1,500円、小中学生 700円、幼児(3歳~未就学児)500円、2歳以下 無料 |
公式サイト |
沖縄美ら海水族館(沖縄県)
無料で見られる4頭のアメリカマナティー
沖縄美ら海水族館は、沖縄県を代表する人気観光スポット。沖縄本島の観光に来た人の多くが訪れます。人気No.1はやはりジンベエザメですが、巨大サメの水槽や沖縄のカラフルな海を再現した水槽も評判です。
またウミガメ館とマナティー館は別館になっていて、無料で見ることができるのもうれしいポイント。ウミガメ館とマナティー館は本館の入り口を通り過ぎて海の方向に下った先にあります。
アメリカマナティー4頭に会える
美ら海水族館のマナティーはアメリカマナティーです。メキシコ政府から日本に寄贈されたマナティーに加えて、2021年に美ら海水族館で生まれたマナティーのユマを飼育しています。
水上と水中から見ることができる
マナティー館は、マナティーを水上と地階の観察室、両方から見ることができる施設。静かで落ち着いた雰囲気なので、マナティーの姿をじっくりと観察することができます。マナティーの生態や保護に関する情報も展示されているので、とても勉強になりますよ。
カボチャも食べる
マナティー館の食事は1日2~3回です。レタス、キャベツ、白菜、カボチャ、ニンジンなどを与えています。飼育員がエサを差し出すと直接口で受け取ってもぐもぐ。そのかわいい姿が大人気です。
マナティー体験学習も人気
マナティー体験学習は、野菜のエサやりや飼育施設のバックヤード見学、飼育員の解説、ふれあいなどを通じてマナティーの生態を知ることができるイベントプログラムです。金土日祝日に、1日1組限定で開催しています。1グループ5名までで料金は1万円。すぐに予約が埋まってしまう人気プログラムですよ。
沖縄美ら海水族館の基本情報 | |
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住所 | 沖縄県国頭郡本部町字石川424 |
電話 | 0980-48-3748 |
営業時間 | 通常期8:30~18:30(入館締切17:30)、繁忙期8:30~20:00(入館締切19:00) |
休業日 | 毎年12月第1水曜日とその翌日(2024年は8月15日現在調整中) |
アクセス | 那覇空港から車で約2時間(高速道路利用)、バス(高速バス使用)で約2時間30分 |
料金 | 大人2,180円、中人(高校生) 1,440円、小人(小・中学生) 710円、6歳未満無料 マナティー館とウミガメ館は無料 |
公式サイト |
マナティーの注目ポイント
せっかく水族館でマナティーに会えたら、細かな部分にも注目してみてください。最後に、ぜったい見逃したくないマナティーの注目ポイントを紹介しましょう。
歯が生え続ける
マナティーの口の中はなかなか見ることができませんが、行進臼歯という珍しい歯の形をしています。これは食べ物をすりつぶす臼歯が次々に生えながら前進していくというもの。前進してすり減った歯は押し出されるようにして抜け落ちます。こうなる理由は、1日に体重の10分の1もの水草などを食べるから。しかもその水草には砂がついているので、常に歯をすり減らしながら食べ続けるのです。
このように次々に生え変わる歯は多換歯性といわれ、哺乳類では珍しいものです。マナティーのほかは、カンガルーと象だけだといわれています。
前歯のところにユニークな器官が!
一般的な動物なら前歯があるところに、マナティーは咀嚼盤(そしゃくばん)がついています。これをつかって植物をすりつぶしながら食べます。これは上アゴと下アゴの皮膚が硬くなったもの。
また上唇は、右側と左側を別々に動かして、食べ物を挟むことができます。しかもその間には太いヒゲがはえていて、エサをしっかりとつかむことができるのです。
手の形に注目
マナティーはアザラシに近い生きものだと思われがちですが、どちらかといえば象に近い種類です。その名残がわかりやすいのがアメリカマナティーの前足。ずんぐりしたひれに爪があって、よく見ると象の手に似た形になっています。
実は低脂肪
カロリーが少ない水草を食べ続けて消化するため、マナティーは大きな消化器官を持っています。まるまるとしているのでぜい肉が多そうに見えますが、実は低脂肪。そのため体が冷えやすく、温かい水の中でしか生きていけません。
体毛は触覚の役割
鳥羽水族館の項目でも紹介したように、マナティーは背中でエサを判断することができます。その役割を果たすのが、薄い体毛です。猫のヒゲのように、体毛に触覚機能があって、周囲の物体を察知できるのです。
研究によると、3,000本以上の体毛のために、浅瀬の暗い水の中でもぶつからずに進むことができ、動きや振動も感知できるそうです。
水族館にマナティーに会いに行こう!
マナティーは不思議な特徴や習性をもったかわいい生きもの。はじめて見るとその大きさに驚くかもしれませんが、のんびりと泳ぐ姿にはとても癒やされます。
日本では4つの水族館でしか会うことができませんが、アメリカマナティー、アフリカマナティー、アマゾンマナティーと、それぞれに特徴があるので、機会があったら全部の種類を見にいってみてくださいね!
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